「ねぇ大和、アタシ東京に住もっかな?」


















だってその方が、大和と会う時間が増えると思ったから。

ただそれだけの理由で言った言葉なのに。

















 ふ る さ と

















「・・・へ?」

「へ?じゃなくて。ちょっと大和、きいてんの?」

「きいてるけど〜・・・」



「だからさ、アタシ東京に住みたいって言ってんの」

「・・・なんで?別に今のままでいいじゃん」










レンジが出ていた生放送の歌番組終了後、アタシは大和の携帯にtelしていた。

マイペースな我が彼氏だけあって、4回も留守電へ接続されたけど。

5回目でやっと繋がったはいいけれど、ちょっと寝ぼけている大和の声。


お疲れかな?











「でも大和、今年アルバム作ってるんだか何だかで、ずっとこっちに戻ってきてないじゃない」

「え?そ・・・そうだっけ?ん〜そのうち帰るよ」

「いいよ別に、あたしがそっちに行けばいいことじゃん。だから・・・」






「ダメぇーーー!!!来なくていい、はそっちにいればいいから!!!」












・・・番組で歌ったせいか、声の通りが常時より良く感じますが。

いつもより2割増高音ヴォイスでそう叫ぶ大和くん。














「ちょ・・・耳痛いでしょ!?いきなり叫ぶその癖、どうにかしてよバカ大和っ!!」

「バ・・・バカれすか・・・ひ、ひどい」








電話の向こうで、背中を丸めてシュンと小さくなっている大和が瞳に浮かぶ。

ん〜・・・疲れてるのに怒っちゃ可哀想かな。。








「大和?」

「アイアイサーッ」

「イヤ、敬礼までしなくていいから」

「えっ!?見てないのに何で分かんの!?」

「(アンタが単純だからよ)・・・大好きな大和のことなんだから、何でも分かるに決まってるでしょ」

「え?えへへ〜そかそかっ」









電話口の向こうで『何ニヤけてんだよ、やぁま〜気色悪ぃぞ〜』という野次が聞こえてくる。

ははは、あの声は弘樹かな。










「やーまーとー」

「ご、ごめんごめん!だって弘樹がさぁ・・・あ、こら!勝手にとるなよぉ〜!」

「ちょ、ちょっと大丈夫なの?大和ー!」



「もっしー?〜?俺、俺!わかるー?」

「もちろん。弘樹でしょ?久しぶり〜元気にしてたー?」

「もちろんさ〜ぁ、さっきの放送見てねえの?」

「いや見たよ。弘樹かっこよかったよ〜」

「おーおー、よく見てらっしゃることで〜!」











ん〜・・・いつも賑やかだなぁ、大和の周りは。

電話で話しててそう感じるんだから、実際会ったら今以上にそう想うだろう。













「・・・会いたいよ大和〜・・・」













電話じゃ聞きとれないぐらいの小声で、アタシはそう呟いた。

あっちはぜんぜん気づいてないみたい。

そりゃそうか・・・だって気づかれないように言ったんだもん。





でも何かムカついてきた・・・何よ、何で会いに行ったらいけないのよ!?















「大和ーーーー!!!!!」

「は、はひっ!?」

「何で?何で会いに行っちゃいけないの!?」

「え?あ、あぁ・・・だってさぁ〜」

「もーハッキリ言ってよ!耳ひっぱるわよ!?」

「(え?何で耳ひっぱるんだぃ?)わ、わ・・・ちょっと怒らないでよちゃ〜ん!」








だって。








アタシが大和に会いたいって想うように、大和はアタシに会いたいとは想ってくれてないの?

ブラウン管を通して見る貴方の姿は、アタシの知らない大和なのに。

そんな真っ向から否定されたら、そんなの・・・。。






















「コホン・・・あのね、?」


咳払いを1回。問い掛けるように話し出す大和。





〜?聞いてる?・・・ん〜怒っちゃってるのかなぁ、ごめんね。ならそのまま聞いてね」





アタシはそのまま何も言わず、大和の話に耳を傾けた。

心無しか緊張しているような雰囲気の大和の声が、ちょっと可愛かった。













「俺だってね、に会いたいよ。だって大好きだから」

「・・・じゃ〜なんでっ」




「でもね、えっと・・・何て言うのかな。にはね、沖縄に居てほしいの」

「・・・だからなんで」

「俺、沖縄大好き。弘樹とか直人とか、メンバーのみんなと出会えた場所でもあるし、もちろんとも出会えた場所だし」

「うん・・・」

「だからね、俺はいつまでも故郷である沖縄を大事にしたいの」

「うん。そうやっていつも言ってるよね、大和は・・・」








ほんの一瞬の間。

喋る前に、大和が深呼吸しているのを感じた。








「俺の大事な故郷には、いつもが居てほしい。が居ないと、俺にとっての故郷は沖縄じゃないんだよぉ〜」



















今大和、どこで話してるんだろう。

こんなクサい台詞、よく言えたな。あの大和が・・・ちょっと関心。








「大和・・・」

「わーっ!!!」

「は?」

「は、はじゅかしい・・・(恥ずかしい)」




「・・・ばーかっ」

「ひ、ひどっ!またバカっつった!」








やっぱり大和は大和なんだと、そう感じる。

会えないのは嫌だけど、今日の大和はいつも以上に頑張ってくれたから。








「大和っ」

「な、なにさ〜・・・もぅ俺泣きそう・・・」

「ありがとっ。大好きだよ大和っ」









こんな大和を知ってるのはアタシだけ?って思ったら、ちょっとだけ我慢できるかも。

あ、でも次はせめて3回以内に電話出てよね、大和くん。。。






     fin.    05/09/04







ん〜・・・大和最高!って感じで。

ドリはすべてヒロイン同一で書きます(リク等は別)。

で、今はすでに付き合ってる設定です。

過去の話はそのうち書きたいと思います。